悪口を取り締まるには?〜御成敗式目とその時代

唐突ですが、人に悪口を言うことはどれくらい悪いことだと思いますか?



昔の人は、悪口は絶対に言ってはいけないものと考えていたようです。

鎌倉時代の武家の法律、御成敗式目の中には、悪口(あっこう、人を悪しざまに罵ること)を禁止する条文があるそうです。

作ったのは北条泰時で、1232年(貞永元年)のことです。

第12条(全部で51条)なのですが、その内容によると重大な悪口は流罪、軽い場合でも牢に入れる、と。
第十二条(書き下し文)
一、悪口咎の事
 右、闘殺の基(もとひ)は悪口より起る。その重き者は流罪に処せされ、その軽き者は召し籠めらるべきなり。問注(=裁判)の時悪口を吐けば、則ち論所 (=争点の領地)を敵人に付けらるべし。また論所の事、その理無き者は、他の所領を没収せらるべし。もし所帯なき者は、流罪に処せられるべきなり。
ビックリするほど重罪ですね。
荒くれ者の武士達の場合、一言の悪口が抗争に発展しかねないので、重く禁じたのでしょう。

さて、翻って現代においても、言葉の暴力は大きな問題です。

しかし、悪口で逮捕できるかというとどうでしょう。

「どこからが悪口になるの」と不安になるものです。

そう考えると、現代は「常識」の失われた世の中と言えるかもしれません。

そして、権力者への不信感も強いのか、恣意的に法律を解釈されるのではないかと、疑念が生まれてきそうです。

たかが悪口、されど悪口。昔の方が道徳的に優れていたと簡単に言うことはできませんけどね。

あなたは考えますか?