「悪名を轟かせたこのクラッカーは、最初は自分がやれることを示そうといたずら気分でウイルスをばらまき、思いもかけず大騒動になってしまったと後悔しきりである」 p.20
1999年のコンピュータウイルス「メリッサ」について。
『ウイルスバスターの冒険』(2000 S.チャンら)より
単純にネズミ算式に通信が増えることで、それだけでネットワークをダウンさせてしまう脅威になった、これはネットワークの時代を象徴するウイルスだと思います。
メールのマクロを通して、知り合いにただ単に同じメールを複製して送るというウイルスは、冗談のようなものでした。個人のPCのデータを改ざんするという被害はありません。しかし、通信インフラをパンクさせ、ネットワークでの取引活動を妨害することで経済的なダメージをもたらす大ごとになってしまいました。
自分のパソコンには大したデータがないからウイルスにかかっても大丈夫、という人がいますが、その認識が誤りであることがわかります。ウイルスは、個人への脅威だけでなく、ネットワークへの脅威についても考える必要があると感じました。
OSのセキュリティは利便性とのトレードオフで、もう少し実行コードと実行権限について柔軟であれば良いと考えているので、「だから、ウイルス対策ソフトを買え」、と人にいうつもりはありませんけどね。
ウイルスバスターの冒険―トレンドマイクロ創業物語(2000 S.チャンら)
ウイルスバスターの冒険―トレンドマイクロ創業物語(2000 S.チャンら)