「野戦エンジニア」 ~ 営業担当は叩かれて成長する ~

「営業担当は外で稼いで一家を養う人間である。叩かれて揉まれないとモノにならない。研究開発はひたすら室内で頭を使う仕事である。大事に扱わないと大成しない。仕事の内容が違うだけに、おのずと人材養成の仕方も異なるのである。」 (p.47)

「スティーブの名刺の肩書は英語で「Field Engineer」とあった。私は敬意を込めて「野戦エンジニア」と呼んだ。炎天下のなか、野戦さながら弾丸の雨をよけ、地べたをはいずり回ってセールスに励む苦労は、クーラーのきいた部屋でプログラミングしていた頃とは較べものにならなかったに違いない」 (p.46)

「ウイルスバスターの冒険―トレンドマイクロ創業物語」(2000 S.チャンら)



人材育成は大きく分けると、叱って育てる方法と褒めて育てる方法があります。唯一の正解があるわけではなく、相手の世代や性格によって使い分けているようです。 職種によっても、育成方法の違いはあるのでしょうか?

実際、営業職は厳しいノルマとインセンティブで叱咤激励されている事が多いようです。一方、研究職は創造的な仕事で、いつインスピレーションが降りてくるか、という面があり、必ずしもノルマが機能しないようです。 これは、短期的か長期的かという結果を求めるスパンによるのでしょうか、それとも営業と研究のそれぞれの仕事につく人のパーソナリティの違いによるのでしょうか?

一般に、研究職は結果が必ずしもかけた時間や労力に比例しないので、厳しい数値管理には向きません。とはいえ、営業も必ずかけた労力に応じた結果が達成させるとは限りませんが、やはり確率論なので、広く対応したという「量」が成果につながりやすい傾向にあるのではないでしょうか。

ちなみに、「野戦エンジニア」としてアメリカで「地べたをはいずり回って」働くセールスマンの姿は、ウィル・スミス主演の映画「幸せのちから(原題:The Pursuit of Happyness)」が思い出されました。

結局、モノが売れるのは、人の情熱とそこからもたらされる信頼からなのではないでしょうか。