国際安全保障や難民について気になっていたところ、目に留まった映画でした。
かつては、同じ技術学校で共に学んだ友だち同士が、クーデターの混乱と狂気の中、殺すものと殺されるものに塗り分けられてしまう。
民族の対立は、単に血縁的な違いではなく、歴史・文化に根深い恐怖と憎悪があるからこそ、その背景を持たない第三者では仲裁し難い。
国連軍の駐留する学校に、難民たちは集まり、対立する民兵たちが挑発しながら取り囲む。結局、「平和監視」のために駐留していた国連軍は撤退することになり、残された難民は虐殺されてしまう。
青年教師は「命が惜しかった」と残して逃げたことを恥じる。しかし、「逃げ」延びた人たちがいたからこそ、できた映画。
「ヨーロッパ人」の神父が、「ルワンダ人」と共に「残る」という決断をした時の台詞。
君は聞いたね、あらゆることが起きていて、すべての人々が苦しんでいるここの、どこに神はいるのかと。神はここ苦しむ人々と共にいる。神の愛を感じる。かつてないほど強く感じる。私の愛もここだ。私の魂だ。今去れば、二度と(神の愛は)見つけられない。君は、何事も全力を尽くせ。
You asked me, Joe, where is God, Everything is happening here, and all is suffering. I know exactly where he is, he is right here withe these people who is suffering.
原題の"Shooting Dogs"は、国連の兵士が、死者の肉体をついばむ野良犬に対しては公衆衛生のために撃つことはできるのに、虐殺の加害者である武装したフツ(族)民兵に対しては発砲を禁止されているという、異常な状況を表現しています。
「神よ、なぜ」というような、余りに惨い状況の前で、「愛と平和」について考えさせられました。
ルワンダの涙 (2004)1994年4月、ルワンダ国内の実際に事件の起きた学校でのオールロケを敢行し、虐殺の生存者が映画スタッフとして参加している真実の物語。