そこで「世襲」というものについての見方が変わりましたので、書いてみたいと思います。
幕末から明治。激動の時代を知恵と愛で生き抜いたある家族がいた――。 代々加賀藩の御算用者(経理係)である下級武士の猪山直之は、家業のそろばんの腕を磨き出世する。しかし、親戚付き合い、養育費、冠婚葬祭と、武家の慣習で出世の度に出費が増え、いつしか家計は火の車!一家の窮地に直之は、“家計立て直し計画”を宣言。家族一丸となって倹約生活を実行していく―。猪山家三世代にわたる親子の絆と家族愛を描いた物語。(Amazon動画紹介より)
主演: 堺 雅人, 仲間由紀恵, 松坂慶子
堺雅人扮する猪山8代目の直之を軸に前後三代の人生を描いた映画です。「猪山家のお家芸はソロバンと筆」として幼少期から算術を磨いた直之は、大きくなると父親とそろって加賀のお城に勤める。
(引用:http://www.ozmall.co.jp/entertainment/people/vol204/)
子ども成之が生まれると今度は自ら修めた算術を厳しく仕込む。「父子の対立と和解」というテーマもあります。
特にこのシーン、鶴亀算の問題を出したおばばさま(6代目の妻)が「お前の父はこれを五才で解いたぞ」というセリフが一番心に残りました。お家芸として受け継いでいくからこそ、父上もおばばさまにとって「誇らしい存在」なんだというつながりを実感できるのかな、と思いました。解けたときの「ご名算」という言葉も印象深いです。
世襲制について、家柄で人を登用する仕組みであり、広く優秀な人材を活用できないのでよくないと思っていました。あるいは、子どもに親の生き方を押し付けるのは、その将来を狭めるという意見もあります。
確かにそういう面もあります。しかし、それは物事の一面にすぎないようです。逆に世襲だからこそ、親に恥ずかしくないように、あるいは子どもが立派に役目を果たせるようにと、代々「お家芸」を磨き続ける良さという面もあるのだな、と気づかされました。
血縁に限る必要はないですが、先人から受け継いだ業績に対して、一歩でも付け加え磨き続ける、このような営みの続くからこそ発展や深化もあるのでしょう。
(引用:http://blog.livedoor.jp/castletrip-kamon/archives/35763782.html)
因みに、お家芸を受け継ぐ=同じ仕事をする、という風にとらえる必要はないと思います。明治になって加賀藩は廃されますが、猪山成之は海軍の主計大監などとして新政府の会計係を務めています。新しい時代においても、代々磨いてきた「芸」が身を助けたわけです。
次の世代に何を残すか、というととかく資産や学歴などが想起されますが、教育も大事ですね。人格形成までは学校に任せっきりにできるものではないですよね。家庭で何を伝えていくか大事にしたいと思いました。自分が何を受け継ぎ、何を残すのか、貴方にとっての「お家芸」、考えてみませんか。